完成日時:2007年9月2日 00.お名前とサイト名をどうぞ。また、よろしければなにか一言。 「焔色の夕凪」管理人・焔嵐です。少しはこれで上達すると良いのですが。 01.告白 白い壁に囲まれた小さな部屋。男は緊張しながらも眼前の女性に告白する。後戻りはもう出来ない。「オレが、やりました」 02.嘘 ベッドに座り、スカートの裾を直す。隣でいそいそと服を脱ぐ男性に向かって、その人は言った。「ごめん、実はね、私は男なの」 03.卒業 昨日までの自分と決別するために。少女は長い髪を切った。もうイジメを甘受するつもりはない。どんな運命が待とうとも、戦うと決めたのだ。 04.旅 彼はそろそろ旅に出なければならない。何の準備もしていなかったが、出発の時間なのだ。遅刻は許されない。「じゃあ、逝ってくるよ」 05.学ぶ イメージはネットで話題になったドラえもん最終話です。 彼は勉強を続けた。成績もどんどん上がった。しかし彼は満足しない。彼が欲するのは成績ではない。彼の夢は、友人を蘇らせる事だから。 06.電車 揺れる満員電車の中で、彼はポケットの携帯を出そうとしていた。すると前の女子高生が彼の手を掴んだ。「この人、痴漢です!」 07.ペット イメージはクレヨンしんちゃんのシロです。 飼い主は犬の散歩途中である事を忘れてお喋りしている。犬がリードを引いた。「あ、そろそろ夕飯の時間だわ」毎度の事だが世話が焼ける。 08.癖 「ちゃんと帰ってきてね?」「ああ、大丈夫だよ」彼の言葉が嘘だと少女には分かっていた。彼は嘘を吐く時、絶対に耳が赤くなるから。 09.おとな おとうさんはきょうもかいしゃ。ゆうえんちにいくっておやくそくしたのに。でも、がまんするよ。だって、ぼくはおとなだから。 10.食事 男はおいしそうにハンバーグを食べている。貧乏な彼が肉を食べるのは久しぶりだ。「ありがとうな、兄貴」かたわらには肉塊が置いてある。 11.本 男は自分で本を書いた。彼の人生で最高の出来となったその本は、彼の目の前に積んである。そこには紙が張ってあった。「返本します」 12.夢 「一等賞の三億円が大当たり!?」宝くじを手にして男は叫んだ。その大声で目が覚めた。ベッドの上には、宝くじはなかった。 13.女と女 「彼は絶対に渡さないわよ」呼び出された少女はそう言った。「大丈夫、私が欲しいのはあなただから」少女は妖艶な笑みを浮かべた。 14.手紙 人生で初めて、手紙に「好きです」と書いた。封筒に入れ、宛先を書く。「K社、K先生っと」ファンレターを手に少年は部屋を出た。 15.信仰 絵馬の内容は実話です。 「どうか願いが叶いますように!」学生服の少年は祈り、絵馬を捧げた。絵馬には大きく書かれていた。「彼女が画面から出てきますように」 16.遊び 彼と一緒に寝た女は今日だけで三人。明日も一緒に遊ばねばいけないだろう。「せんせー、さようなら」園児の笑顔に彼は手を振った。 17.初体験 彼女にとって初めての体験だった。とても暖かくて、少し痛かった。かなりの血がベッドを汚していた。彼女の手首は、切れていた。 18.仕事 「私と仕事、どっちが大事なのよ!」問い詰める妻に夫は答える。「もちろん仕事さ」妻を抱きしめ続けた。「お前を愛するという、な」 19.化粧 電車の中で座っていた。鏡を見ながら口紅を塗る。いきなり電車が大きく揺れた。手が滑って顔に紅い線ができた。前の乗客が笑っていた。 20.怒り イメージは地球です。 彼は怒っていた。その怒りを、身体を震わせる事で表現した。身体の上の連中が騒ぎ出した。いい気味だ。宇宙の中で、青い彼は怒り続ける。 21.神秘 イメージはロードの宝玉です。 見えない程に高い天井。僅かに差し込む光だけが暗闇を切り裂く。無意味に豪奢な祭壇の上で、紅い宝玉は待っていた。己が必要とされるのを。 22.噂 「知ってる?あの子、売春してるんだって」「知ってるよ。あなたもしてみる?」「は?何言ってるの?」「シてないの、あなただけからさ」 23.彼と彼女 彼は女性を抱きしめた。力の限り逃がさぬように。しかし、女性は抱き返さない。その顔に、血の気はなかった。すでに命を終えていたから。 24.悲しみ イメージは夜空の空のアンジェラです。 少女は宝剣をその手に取った。早く悲劇に幕を下ろそう。そしたら今度は喜劇の始まり。悪夢も続けば楽しい夢の一部となる。 25.生 イメージはロードの桔梗です。 彼女は笑顔で白い槍を振り下ろす。恐怖の色に満ちた顔が鮮血と共に空を舞う。誰かを殺す時、彼女は自分が生きていると実感する。 26.死 電車が近づいてくる。少女は覚悟を決めた。拳を握り締め、軽く前に飛ぶ。たまたま通りかかった酔っ払いにぶつかって、男は線路に落ちた。 27.芝居 彼女は才能を活かした結果、賞を得た。彼女の周囲の人々は口々に称賛したが、その内の何人が心の底から言っているのだろうか。 28.体 初めての解剖実習。医学生はメスを握り、死者の肉体を切り刻む。実習が終わった数時間後には、人の体はただの肉片と化した。 29.感謝 「ありがとう」男は女に言った。女の手には紅い包丁が握られていた。「殺してくれて」「どういたしまして」女はニコリと笑った。 30.イベント 真っ暗な夜空を焔の花が彩る。人に使えば死を撒き散らし、岩に使えば粉々とする。故にこの華は美しい。刹那の芸術に、人々は沸き続ける。 31.やわらかさ 「お前の手ってさ、本当にやわらかくて気持ちいいよな」男は彼女の手を取った。彼女の手はぷにぷにしていた。彼女はニャーと返事をした。 32.痛み 「オレはもう駄目なんだ」彼女はそう言った彼の頬を思い切りひっぱたいた。彼女の手よりも彼の頬よりも、彼女の心は痛かった。 33.好き 彼女は彼が好きだった。毎日、好きだと伝え続けた。だけれど彼は彼女の頭を撫でるだけ。今日も彼女は想いを伝える。「ニャー」 34.今昔(いまむかし) 彼は子供の頃から女性にとても人気があった。彼が交通事故に巻き込まれた後。彼に言い寄る女はいなくなった。幼馴染の女性を除いて。 35.渇き またまたイメージはロードの桔梗です。 彼女は誰かに認めて欲しかった。生きていていいと。しかし世は彼女の見た目が違うだけで迫害する。彼女は生きる事すら許されない。 36.浪漫 まだ見ぬ地を目指し、彼は大地を踏みしめる。その先に何が待つかはわからない。だからこそ進む。既知のものなど、興味はない。 37.季節 雪が溶け、生き物が躍り出る季節。桜の舞い散る中へ、彼女は消えていった。卒業証書を握り締め、彼は呟く。「ありがとう、好きだよ」 38.別れ 「さようなら」女性はそう言って走り去った。残された男性はレストランで独り呟いた。「俺、今日は金を持ってないんだけど?」 39.欲 欲と被りましたが、ロードの桔梗がイメージです。 彼女に友達はいなかった。彼女に家族はいなかった。彼女に恋人はいなかった。彼女は人を欲していた。けれど、誰もいなかった。 40.贈り物 彼女は頬を赤らめて包みを渡し、その場を駆け去った。彼は驚きつつも包みを開く。途端、包みは爆発した。「邪教徒に死を」彼女は呟く。 |