文章修行家さんに40の短文描写お題

お題に沿って65文字以内で場面を描写します。

完成日時:2007年9月2日


00.お名前とサイト名をどうぞ。また、よろしければなにか一言。

「焔色の夕凪」管理人・焔嵐です。少しはこれで上達すると良いのですが。



01.告白

白い壁に囲まれた小さな部屋。男は緊張しながらも眼前の女性に告白する。後戻りはもう出来ない。「オレが、やりました」



02.嘘

ベッドに座り、スカートの裾を直す。隣でいそいそと服を脱ぐ男性に向かって、その人は言った。「ごめん、実はね、私は男なの」



03.卒業

昨日までの自分と決別するために。少女は長い髪を切った。もうイジメを甘受するつもりはない。どんな運命が待とうとも、戦うと決めたのだ。



04.旅

彼はそろそろ旅に出なければならない。何の準備もしていなかったが、出発の時間なのだ。遅刻は許されない。「じゃあ、逝ってくるよ」



05.学ぶ  イメージはネットで話題になったドラえもん最終話です。

彼は勉強を続けた。成績もどんどん上がった。しかし彼は満足しない。彼が欲するのは成績ではない。彼の夢は、友人を蘇らせる事だから。



06.電車

揺れる満員電車の中で、彼はポケットの携帯を出そうとしていた。すると前の女子高生が彼の手を掴んだ。「この人、痴漢です!」



07.ペット  イメージはクレヨンしんちゃんのシロです。

飼い主は犬の散歩途中である事を忘れてお喋りしている。犬がリードを引いた。「あ、そろそろ夕飯の時間だわ」毎度の事だが世話が焼ける。



08.癖

「ちゃんと帰ってきてね?」「ああ、大丈夫だよ」彼の言葉が嘘だと少女には分かっていた。彼は嘘を吐く時、絶対に耳が赤くなるから。



09.おとな

おとうさんはきょうもかいしゃ。ゆうえんちにいくっておやくそくしたのに。でも、がまんするよ。だって、ぼくはおとなだから。



10.食事

男はおいしそうにハンバーグを食べている。貧乏な彼が肉を食べるのは久しぶりだ。「ありがとうな、兄貴」かたわらには肉塊が置いてある。



11.本

男は自分で本を書いた。彼の人生で最高の出来となったその本は、彼の目の前に積んである。そこには紙が張ってあった。「返本します」



12.夢

「一等賞の三億円が大当たり!?」宝くじを手にして男は叫んだ。その大声で目が覚めた。ベッドの上には、宝くじはなかった。



13.女と女

「彼は絶対に渡さないわよ」呼び出された少女はそう言った。「大丈夫、私が欲しいのはあなただから」少女は妖艶な笑みを浮かべた。



14.手紙

人生で初めて、手紙に「好きです」と書いた。封筒に入れ、宛先を書く。「K社、K先生っと」ファンレターを手に少年は部屋を出た。



15.信仰  絵馬の内容は実話です。

「どうか願いが叶いますように!」学生服の少年は祈り、絵馬を捧げた。絵馬には大きく書かれていた。「彼女が画面から出てきますように」



16.遊び

彼と一緒に寝た女は今日だけで三人。明日も一緒に遊ばねばいけないだろう。「せんせー、さようなら」園児の笑顔に彼は手を振った。



17.初体験

彼女にとって初めての体験だった。とても暖かくて、少し痛かった。かなりの血がベッドを汚していた。彼女の手首は、切れていた。



18.仕事

「私と仕事、どっちが大事なのよ!」問い詰める妻に夫は答える。「もちろん仕事さ」妻を抱きしめ続けた。「お前を愛するという、な」



19.化粧

電車の中で座っていた。鏡を見ながら口紅を塗る。いきなり電車が大きく揺れた。手が滑って顔に紅い線ができた。前の乗客が笑っていた。



20.怒り  イメージは地球です。

彼は怒っていた。その怒りを、身体を震わせる事で表現した。身体の上の連中が騒ぎ出した。いい気味だ。宇宙の中で、青い彼は怒り続ける。



21.神秘  イメージはロードの宝玉です。

見えない程に高い天井。僅かに差し込む光だけが暗闇を切り裂く。無意味に豪奢な祭壇の上で、紅い宝玉は待っていた。己が必要とされるのを。



22.噂

「知ってる?あの子、売春してるんだって」「知ってるよ。あなたもしてみる?」「は?何言ってるの?」「シてないの、あなただけからさ」



23.彼と彼女

彼は女性を抱きしめた。力の限り逃がさぬように。しかし、女性は抱き返さない。その顔に、血の気はなかった。すでに命を終えていたから。



24.悲しみ  イメージは夜空の空のアンジェラです。

少女は宝剣をその手に取った。早く悲劇に幕を下ろそう。そしたら今度は喜劇の始まり。悪夢も続けば楽しい夢の一部となる。



25.生  イメージはロードの桔梗です。

彼女は笑顔で白い槍を振り下ろす。恐怖の色に満ちた顔が鮮血と共に空を舞う。誰かを殺す時、彼女は自分が生きていると実感する。



26.死

電車が近づいてくる。少女は覚悟を決めた。拳を握り締め、軽く前に飛ぶ。たまたま通りかかった酔っ払いにぶつかって、男は線路に落ちた。



27.芝居

彼女は才能を活かした結果、賞を得た。彼女の周囲の人々は口々に称賛したが、その内の何人が心の底から言っているのだろうか。



28.体

初めての解剖実習。医学生はメスを握り、死者の肉体を切り刻む。実習が終わった数時間後には、人の体はただの肉片と化した。



29.感謝

「ありがとう」男は女に言った。女の手には紅い包丁が握られていた。「殺してくれて」「どういたしまして」女はニコリと笑った。



30.イベント

真っ暗な夜空を焔の花が彩る。人に使えば死を撒き散らし、岩に使えば粉々とする。故にこの華は美しい。刹那の芸術に、人々は沸き続ける。



31.やわらかさ

「お前の手ってさ、本当にやわらかくて気持ちいいよな」男は彼女の手を取った。彼女の手はぷにぷにしていた。彼女はニャーと返事をした。



32.痛み

「オレはもう駄目なんだ」彼女はそう言った彼の頬を思い切りひっぱたいた。彼女の手よりも彼の頬よりも、彼女の心は痛かった。



33.好き

彼女は彼が好きだった。毎日、好きだと伝え続けた。だけれど彼は彼女の頭を撫でるだけ。今日も彼女は想いを伝える。「ニャー」



34.今昔(いまむかし)

彼は子供の頃から女性にとても人気があった。彼が交通事故に巻き込まれた後。彼に言い寄る女はいなくなった。幼馴染の女性を除いて。



35.渇き  またまたイメージはロードの桔梗です。

彼女は誰かに認めて欲しかった。生きていていいと。しかし世は彼女の見た目が違うだけで迫害する。彼女は生きる事すら許されない。



36.浪漫

まだ見ぬ地を目指し、彼は大地を踏みしめる。その先に何が待つかはわからない。だからこそ進む。既知のものなど、興味はない。



37.季節

雪が溶け、生き物が躍り出る季節。桜の舞い散る中へ、彼女は消えていった。卒業証書を握り締め、彼は呟く。「ありがとう、好きだよ」



38.別れ

「さようなら」女性はそう言って走り去った。残された男性はレストランで独り呟いた。「俺、今日は金を持ってないんだけど?」



39.欲  欲と被りましたが、ロードの桔梗がイメージです。

彼女に友達はいなかった。彼女に家族はいなかった。彼女に恋人はいなかった。彼女は人を欲していた。けれど、誰もいなかった。



40.贈り物

彼女は頬を赤らめて包みを渡し、その場を駆け去った。彼は驚きつつも包みを開く。途端、包みは爆発した。「邪教徒に死を」彼女は呟く。




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