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「今年は何年だと思ってんのよ」 「……14年目だな」 「前回はいつだと思ってんのよ」 「12年目だな」 「13は!! どこ行った!!」 たいへんご立腹である。 いつもの焔色空間。リナは隣に座る聡の頭をぺんぺん叩く。 「というか。なんでオレが木魚にされてんだ」 「いいじゃない聡だし」 「オレの頭は!! ちょっと小意気な打楽器じゃねえ!!」 「お、ようやくキレた」 「いつキレるかと思っていたんだけど、思いのほか我慢したよね」 「お前らも止めろぉぉぉ!!」 今日も平和な焔色空間である。 「で、実際のところはなんで去年飛ばしたんだ?」 「ただ忘れていただけみたいよ」 「そんな理由で! 貴重なリナちゃんの出番を削ることはありえない!!」 「騒ぐと出禁になるんじゃない?」 「え、そういうシステム?」 わいわいがやがや。居並ぶのは総勢24人もの主人公級。 「……というか、いいのかな」 「何が?」 「こう、ウイルス的な。密じゃないこれ?」 首をかしげたのは現代日本出身、源愛梨。 「そりゃまあ、異世界組のみんなとかは関係ないかもだけど」 「というか感染しそうにないメンバーもいるしね。リオンは? 亜人も病気になるの?」 「なりますよ。例のウイルスはわかりませんが、基本的には人間と亜人は変わりませんから」 「まあ、リオン君みたいな場合はともかく、大半は人間でしょ? そういう人はヤバいんじゃ」 「一応、ここではウイルスの話は取り扱わないみたいですよ」 答えたのは現行ヒロイン、比奈山はすみ。 「震災とかも扱わない。あったともなかったとも言わないし、なんだったら大半のストーリーは年代も言わない。あえてそうしているみたいです」 「そうなの?」 「まあ、そりゃそうよね」 応じたのは『大空』の紅。 「世界によって違うかもだけど、こっちなら宇宙船が来ている日本って設定で、いわゆるイフの話よね。でも宇宙人と戦いつつウイルスがどうこうで感染症対策が、なんて話していたら余計な話が多すぎるわ」 「ストーリーをシンプルにするために、大きな事件・事故は主題にならない限り存在を取り扱わない。それが基本ってわけだね。小説ではよくある技法かな」 頷いたのは高校生作家の古木作也。 「まあ、無難って言えば無難だよね。ウイルスの前後だと生活様式が違いすぎるし」 「それを言ったら震災の前後でもまったく違うけどね。輪番停電なんてやっている頃だと、作中でいきなり停電するとか? でもそんなの、ストーリーに関係なく、脈絡もなく消えても困るし」 「ストーリーに絡むならともかく、絡まないなら関係ないもんね」 「それだけじゃないよ。ボクの地球と紅の地球は同じだけど、それだと地球が何回も崩壊していることになるし」 そう言ったのは『神代』の八雲恵美。 「ぱられるわーるど? って聞いたけれど」 「何? それ」 「あったかもしれないもうひとつの世界。リルアの世界で例えるなら、魔王がそもそも倒れなかった場合とか」 「そんなの困る! それじゃあシフルと出会えないもん!」 「はいはい。逆に同じ世界観の奴らっているの?」 「特別な事件のない組ならいいんじゃねえの? 愛梨と光子とか」 「名前を呼ぶな」 ギロリとカズマをにらんだのは件の有沢光子。 「まあ、私と源、比奈山に、古木と久住ね。一応はリナとかアンジェラも整合性が取れるけど」 「裏を返せば、ファンタジー組は同じ世界観っていないよなぁ」 「まあ、根幹となる力も違うし、結構旅とかしていて世界中を見たりしているからな」 そう口にしたのは実際に冒険をしているグレイス・フェイリアー。なあ、と求められ、ヴァルゴも同意するように頷く。 と、 「そうとも言いきれないと思うけど」 そう言ったのはマリナ・チェストナット。 「私の世界は、いわゆるゲーム世界。現実の世界があるわ。崩壊した世界と言うから、それは恵美の世界やフレーゼの世界とも整合するかもしれない」 「ああ、なるほど。世界外世界か」 「僕の世界はそんなに殺伐としていないけど……。一応、ドームでは生きていけているし」 「それはそうだけど。セイイチの世界みたいに、どんな世界とも通じている空間というのもあるし、世界間交流はあってもおかしくないかもしれないわね」 話をふられても話に乗れないコミュ障男。黒崎は視線を泳がせつつ、 「僕の、世界では……。エルフとか。アンドロイドとか。獣人とか。なんでもありだけど、僕自身は、一般人だ」 「でもエルフの世界だってあるんでしょ? まあ、この中にエルフ統一国家の出身者はいないけど」 「というか、エルフがいないよね。これだけいるのに」 「まあ、主人公にエルフってのがいないってだけだよなぁ。どっちかっていうとヒロインとかのポジションだし。なあヒカル?」 「……エレナはハーフだぞ」 「いいよなぁ、ハーフエルフの美少女彼女」 「太陽はそれ言っちゃいけないと思うぜー」 「いいじゃんか。オレも彼女いないんだし」 「お前、いつか刺されるぞ」 「はいはーい! あたしも彼氏欲しい!!」 「必死だな」 「京介ぶち殺すわよ」 ふん、と肩をすくめる雨雲京介。 「ねーえー。どうでもいいけどご飯はー?」 「おー、オレも腹減ったなー」 「あ、じゃあはすみに作ってもらおっか。料理ができる貴重なメンバーだし」 「え!? 私一人で!?」 「光子が手伝ってくれるわよきっとー」 「クリスティ、名前で呼ぶな。というかあんたも手伝え」 「じゃあ私も手伝おうかしら」 「アンジェラは手伝わなくていいわ」 「そう?」 「そうよ。というかせめて砂糖と塩くらい区別がつくようになってからにしなさい」 「字は読めるわ」 「味オンチに料理はできないっての! ほら、比奈山、行くわよ」 「えっ、マジでやるの?」 「こいつらはそういう奴なのよ。ほら、エリアも手伝うの」 「お姉さん使い悪くないー?」 「オレも手伝うかー?」 「ヴァンは……。余計なことしそうだから駄目」 何人かの料理センスを持つ者が厨房へと移動する。残されたアンジェラは首をかしげるが、何人かは深く深く頷いていた。 |