「ドキッ! 女子だらけの闇鍋たいかーい!!」
「帰るわ」
「帰さないに決まってんだろ」
「一人だけ逃げるのはズルです!!」
「るっさい! リナ関わってんのに闇鍋とか自分が闇になるわ!!」
「はぁ、おこたあったかい」
「現実逃避だ」
「司会進行はリナちゃん! ということで逃がすわけないでしょ光子」
「食材持ち寄って鍋するとしか聞いてないしこんな話ならりゅ……友達とクリスマス過ごすわ」
「誰がさせるか。だいたいあんた友達いないでしょ」
「ぶち殺すわよ」
「でもまあ、クリスマスなら彼氏と過ごしたいよねー」
「か、彼氏なんかじゃない」
「えー? だってどう見てもラブだし、いいじゃん話してよー」
「るっさい!!」
「だからさせないっての。というか彼氏持ちがムカつくので彼氏がいる女子は普通の鍋パとして伝えました」
「だからそういう嫌がらせをやめろってのよ!!」
「もう諦めた方がいいんじゃねーか? まあ、食えないもんは入ってないだろうさ」
「というわけで、グレイス、光子、マリナ、はすみ、リルアはアウト判定で騙しました。紅や恵はギリセーフ判定にしてあげたわ」
「どういうわけよ」
「あの。私は彼氏いないんですけど」
「はすみとリルアは彼女がいるからアウト」
「えー?」
「百合にも優しい世界ね……」
「ちなみに、他のメンバーにはギリ食材を持ってきてもらい、鍋に突っ込みました! あ、スープの味ははすみが作ったからたぶん食べられるやつ」
「美味しいかどうかは保証しないです。他の食材がわかんないんで」
「あとお腹壊したら治療班が控えているんで大丈夫」
「その治療班て回復魔法とかそんなやつでしょ……。というか控えてなくていいから出てきなさい」
「というわけで、闇鍋スタート!」
「まあすでに真っ暗なんだけども」
「今回はランダムに食材が選ばれるので、完食すること! では参ります!」
「参りたくないわ!!」
「トップバッターはエリア〜!」
「なんでさ……」
「まあ車座だし、最初の方がセーフ食材の確率高いよ」
「それはそうだけどさ……。ったく、っ!?!?!?」
「まずい? すごくまずい? 死ぬほどまずい?」
「選択肢になってない!」
「こ、これ……。たぶん白菜、だったのかな?」
「あ、それあたしが入れたやつ」
「光子のか。道理で普通」
「なのに汁の味がやばくて……。くっそまずい」
「なるほど、普通の食材でも他の食材から出た味でまずくなるのか」
「これ逃げ場なくない?」
「まあまあ。次は光子のターン!」
「絶対に嫌なんだけど……」
「嫌とかいいから」
「ふざけてるわね。……この企画をしたやつを呪ってやるわ」
「呪いはダメだよ!」
「るさい愛梨」
「で、何食べたの?」
「何かの肉……。たぶん猪、みたいな?」
「あ、それお……あたしが持ってきたやつ」
「グレイスか」
「肉としてはジューシーなんだけど煮汁を思いっきり吸ってて普通にまずい」
「肉系もやばいのかー」
「よーしうるさい光子もダウンさせたところで、次はマリナ!」
「……」
「防御魔法使ってんじゃない」
「ちっ、バレたわね……」
「防御魔法が必要な食事っていったい」
「ええいままよ! ……まずいうえにかったい」
「石?」
「いや、何かの赤身肉……」
「あ、たぶん鳥かな。ギャロップって、えーと、ダチョウみたいなやつ」
「筋肉の塊みたいなやつなのね。本当に石かと思ったわ」
「栄養はあるのよ?」
「栄養以外も食事に求めなさいよ」
「まあまあ! お次のターン! 恵!」
「闇鍋って初めてだよ。あむっ」
「うわっ、一気に行った!?」
「蛮勇すぎる」
「ぐふっ」
「わー!? 恵が死んだ!?」
「何事!?」
「甘くてしゃきしゃき……。これ梨だ」
「絶妙に合わなさそう」
「煮汁の甘味はそれか……。それだけか?」
「誰だよそんなの入れたの」
「はーい」
「紅!!」
「せっかくだし面白くないといけないかなって」
「面白さにも限度がある!!」
「ちなみに煮汁ははすみが作ったけど、食材はあたしが突っ込んだから」
「リナのせいじゃん!!」
「食べ物しか入ってないってば」
「うわー、次はあたしかぁ」
「愛梨、死なないようにね」
「見えてるから大丈夫!」
「そういう問題か」
「んげぇ、普通にまずい。てかめっちゃ苦い。これ、野草みたいなやつ?」
「あ、私の」
「マリナの?」
「そう。山で取れるやつ。苦味は強いけど、治療薬にも使われるの。何よりお金がかからない」
「冒険者思考。というか、あんたお金に困ってないでしょ」
「携帯食料の方がよかった? あれくそまずいけど」
「そういう問題じゃなーい」
「次ははすみの番!」
「この流れで食べたくないんですけど」
「まあまあ、どうせ逃げられないから」
「ぐぬぬ……」
「お、食べた」
「ぐえっ」
「何だった?」
「大福、みたいなの……。でも中身が溶けてる……」
「あ、それ雪見だいふく」
「鍋にアイスとか狂気の沙汰!!」
「愛梨なに考えてんの!?」
「面白いかなーって」
「面白さを重視するな女子高生!!」
「次は紅の番だねー」
「うえっ、マジで? 腰が引ける……」
「それいっきーいっきー」
「犯罪だよそれ」
「あぐっ」
「どう?」
「この感じ、魚、かな……。普通にまずいけど死ぬほどじゃないから苦痛が続くやつ」
「あ、あたしかな」
「リルアか」
「川で取れたやつだよ!」
「泥抜きめんどいのでそこそこで入れました」
「そこを手抜くな!!」
「というか次、リルアのターンだよ」
「はーい。まあ食べられないものはないでしょー」
「さっき自分が何を入れたか思い出して?」
「むぐ……。ふんふん……。鳥っぽい、ような?」
「っぽいって?」
「鳥っぽいんだけど、鶏じゃない感じ? 煮汁はクソまずいけどお肉の旨味が相殺してぐふ」
「あ、死んだわ」
「時間差で来るやつ……」
「結局なんだったんだろう」
「それ、たぶん八尺様です」
「ってことははすみの食材?」
「そう」
「この鍋って怪異まで入ってるの!?」
「道理でカオス風味」
「怪異だけど美味しいです」
「自分でもそれを食べることに違和感あったんじゃ?」
「黙秘します」
「次はグレイスだねー」
「あと出てないのはリナ、恵、アンジェラの食材か……。それセーフがあるのか?」
「腹が減ってれば美味しいかもしれない」
「ええいままよ……! んぐっ!!」
「あ、また死んだ」
「何だった?」
「蘇生が先じゃ?」
「お前らに人間の心はねえの!?」
「あ、起きた」
「クソ甘いうえにゲロまずい煮汁が大量……。何だこれ!? 本当に何なのかわかんねえ!」
「気配からして、たぶんリナの食材じゃない?」
「あー、じゃあ生八つ橋だ。ちなみに山椒味」
「うげ」
「お菓子を入れるのやめようよ……」
「というかお菓子としても何かおかしい」
「せっかくなので思いきりふざけたかった。後悔はしていない」
「しろ!!」
「それに、次はいよいよリナの番だからね!」
「アンジェラの食材か、恵の食材の二択! ……アンジェラ、食べ物を入れたのよね?」
「ケイに食べ物って聞いてきたわ。栄養もあるし、何にでも合うからって」
「よーし、それじゃ……。何これ、かたいわね」
「いっき、いっき」
「それ犯罪だっての。じゃあ……。むぐぅ!?」
「お? どうした?」
「めっちゃバリバリ……。これ卵……」
「じゃあいいじゃん。ただのゆで卵じゃん。まずいけど」
「じゃなくて。殻ごと入ってる……」
「固いってそういうことか」
「ハードボイルドどころの話じゃないのね」
「アンジェラ、卵は殻を割って中身を入れるものなのよ」
「そうなの?」
「アンジェラに料理の常識があるわけなかった……」
「まあ生卵を割って入れることはできないし、下茹で必要だったはずだけども」
「そんなことリナもアンジェラも絶対にしないよね」
「どのみち死か……」
「ということは、アンジェラが恵の食材か」
「そういえば、アンジェラは食べられるんだっけ? 幽霊的なあれなんでしょ?」
「問題ないわ」
「ではどうぞ」
「いただきます」
「どう? 味は?」
「味、というのか分からないけど。ぷちぷちとしているわ」
「いくら?」
「麦?」
「タピオカ?」
「ううん、芋虫」
「……!?」
「うぇぇぇ!?」
「む、む、む、虫!?」
「お、おい。アンジェラ。大丈夫なのか?」
「何かしら?」
「その、虫なんか食べて」
「命をいただくという行為のこと? それそのものを否定するわけではないわ。私たちには必要もないというだけ」
「そういうことじゃなくて」
「アンジェラ的には虫も牛も同じなんでしょ……。命は等しく価値あるって人なんだから」
「そ、そっか……」
「てか、あたしたち、芋虫の入った鍋を食べていたの?」
「言わないでそれ地獄絵図」
「美味しいんだよ、芋虫」
「恵って虫も食べるの?」
「まあね。食材を選んでられないしさ」
「せめてケモノを狩りなさい!」
「いや、狩るけどさ。ケモノも常にどこにでもいるってわけじゃないし、芋虫なら割とそのへんにも」
「やめええええええ!!」
「うげぇ……。リバースしそう」
「これクリスマスにふさわしいの……?」
「ちゃんとボクも考えているんだよ。ほら、肉とかって赤いじゃないか。だから緑色の芋虫を入れればクリスマスカラーに」
「せめて葉物野菜とかにしろぉ」
「あ、その手があったか」
「その手を先に考えろぉ」
「全員リタイア、死屍累々?」
「そうなの?」
「アンジェラは平気そうだよね本当に……」






戻る