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「あの……」
 バリケードの下で、アディー・ヒーリは手をあげて質問する。
「なんで私までここに」
「あんたが一番戦力になりそうだったから」
 答える美空は平然と。
 隣に座る光子もうんうんと頷いている。
「すみません、ぜんぜん分かりません」
「例年、リナはこの時期になると狂暴になるわ。発情期かしらね」
「獣じゃないんですから」
「ケモノ!?」
「恵ストップ」
「さておき。あいつを押さえ込むには戦力を集めておいた方が安全でしょう? だからあんたにも声をかけたってわけね」
「美空さんは普通に強いじゃないですか。私なんかいなくても」
「戦力は集める、と言ったのよ。対抗するのと同時、あんたがあいつに協力しないようにするって意味もある。まあ彼女持ちのあんたはリナにとって目の敵だろうけど」
「か、彼女なんてそんな」
「そういうのはどうでもいいの」
「というか、戦力とするなら焔色は強い女性も多いですし、そっちでよかったんじゃ。マリナさんは伝説の勇者だし、リルアさんも伝説の勇者だし、グレイスさんも伝説の騎士ですよ」
「逃がしたのよ、そのあたり。今は違うところで潜伏してるわ」
「……ゲリラ戦か何か?」
「近しいわね。ほら、来るわよ」
 荷物を積んで作られたバリケードの向こう。めらめらと燃え盛る炎の矢。リナである。
「バカップルはどこじゃー!!」
 今日も元気に気炎をあげている。どうもカップルにイチャつかれたらしい。毎度のことである。
「マリナたちは正面から対等な戦力で殴り合うタイプだしね。ゲリラ戦ならこっちのメンバーが合ってるわ」
「光子さんは一般人ですけど……」
「知ってる? ゲリラって高学歴なのよ」
「あんなこと言われていますけどいいんですか、光子さん」
「まあリナから逃げられるならなんでもいいわ」
「恵さんは」
「ケモノ狩りはゲリラ戦だよ」
「確かに……」
「ほら、来るわよ!」
 炎をあげる獣。それは本物より大きく見える。
「油断しないで、ゴー!!」

 〜ほんでもって〜

「……やりすぎでは」
「落とし穴とトリモチ弾と爆竹使っただけよ」
「ゲリラだ……」
「あの程度では死なないでしょ」
「死んだらさすがにまずいでしょ」
「気にしない気にしない」
「そりゃ美空は気にしないかもしれないけど」
「って殺すな!!!」
 頭に白い餅を付け、ほっぺたに微妙な煤が残り、落とし穴の中でまみれたであろう泥を落としながらも。
 リナは生きていた!
「だから死ぬわけないっての」
「ふふん! ここで会ったが百年目、美空! 年貢の納め時よ!!」
「残念、妖怪に年貢って概念はないのよ」
 その光景をはたから見ていたアディーはこそこそと光子に耳打ちする。
「あの、ガチしたら美空さんの方が強いはずじゃ」
「お互いガチはしないでしょ」
「……本当に? あの美空さんが?」
「…………」
「………………」
「恵、哺乳類の解体についてなんだけど」
「現実逃避ですか!? というか人類を哺乳類扱い!?」
「哺乳類の解体はねー、まず肛門を切って」
「恵さんもそういうこと真面目に答えないで!?」
 そうこう言っている間にも炎矢と霊力が乱れ飛ぶ。ここにいるメンバーがノーダメージなのは、恵が刀で弾いているからである。
「あの、これどうやって収集つけるんですか」
「大丈夫よ。最後の罠がある。これは美空にも教えていないわ」
 そう言って、光子は何かのボタンを取り出す。虎縞模様の台座に赤いボタンでデンジャーとか書いてある。カタカナで。
「あの」
「ぽちっ」

 ちゅどーん!!

「……光子さん?」
「動物集団のトップテロリストが作ったお手製爆弾。まあ、あの二人なら死にはしないでしょ」
「結局爆発オチですか!?」






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