「ここにホールケーキがあります。これを七等分します」
 丸いショートケーキを前に、リナはふんぞり返る。
 いつもの焔空間。今日はリナ、アンジェラ、美空、フォスター、碧、ロアン、アディーの7人が集まっていた。
 他のメンバーは忙しく、言い換えればたまたま暇だったメンバーである。
「確かに7人いるけど……。ムリじゃん、七等分なんて」
「ということで、どうすれば七等分できるかみんなの知恵を出し合います!」
「どうすればって……」
「はい、じゃあまずはアディー」
「えっ」
「ほらほら早く」
「え、えっと……。なんとなくナイフを入れて順番に選ぶ、とか?」
「あー、切れるのが均等でなくても、自分で選んだってところで納得感は得られるやつだね」
「でもそれ、二人ならともかく七人じゃ無理じゃない? 先に選んだ人の方がいいやつ選んだって思えちゃうし」
「そもそも優等生的。面白くない。ボツ」
「面白いかどうかで判断なんです?」
「じゃあ次、ロアン」
「ナイフを4回入れれば八等分できるから、ひとつあまりってことで」
「余らせるなんてもったいないじゃない。ボツ」
「まあそうだけどさ」
「それなら次、碧」
「もう一人呼んできて八等分にすれば?」
「分け前が減る、ボツ」
「それはロアンの時も同じじゃない?」
「そもそも他のメンバーは忙しくて来れてないんでしょ。今から呼んでも来られないんじゃないの?」
「それもそっか」
「はい、コハルの意見は?」
「じゃあいっそ水平にカットするとか」
「大喜利やってんじゃないんだわボツ」
「わかってたよ」
「というか水平でも七等分は難しいぞ」
「フォスターは?」
「おじさんは食べないで六等分でいいんじゃないか」
「仲間外れとかよくないわ、ボツ」
「分け前増えるんだからいいんじゃないのか」
「それじゃ美空の案は?」
「ミキサーにかければ?」
「……は?」
「だから。ミキサーにかけてぐちゃぐちゃにすれば正確に七等分できるわよ」
「発想がサイコパス」
「哲学の実験にあるよね。ヒヨコをミキサーにかけたら何か失われるものはあるかってやつ」
「命が失われてるけど……」
「でも存在としては同一って話」
「ケーキの場合、少なくても味は変わると思うけど」
「栄養素は一緒ね」
「ええい。ここは優等生かサイコパスしかいないのか!!」
 すると他の面々から視線が集まる。
「じゃあリナの意見は?」
「……他のメンバーを全員倒せば独り占めでよくない?」
「発想が原始人すぎる」
「脳筋というかなんというか」
「なんでも暴力で解決するのはよくないぞ」
「う、うるさいっ!」
「それに、まだアンジェラの意見は聞いてないけど」
 すっ、と全員の視線が集まる。それぞれに視線を返し、
「このケーキを七つに分ければいいの?」
「それはそうだけど」
「つまりこうね」
 ひゅん、と刃が閃く。
 いつの間にか、ケーキは綺麗に切られ、皿に乗っていた。
「今の一瞬で!?」
「さすがアンジェラ……」
「私の目でも追いきれませんでした」
「最初からアンジェラに任せればよかったんじゃないの?」
「……ま、まあこれでみんな食べられるし!? よかったわね!」
 アンジェラは美空を見上げ、
「何かおかしかったかしら?」
「アンジェラの勝ちね」






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