「チキチキ焔色総選挙〜! 司会進行はお馴染みリナちゃんです!」
 マイクを持ったリナが舞台の上で叫んでいる。
 いつもの焔色超越空間。その中では、主人公ズが集まっていた。
「今回のお題は総選挙! 焔色各世界の皆々様に投票してもらって、それぞれのテーマで一番ふさわしい人物を選んでもらったわよ!」
「テーマってのは?」
「いい質問ね! 今回のお題は全部で5つ! まず一つ目は……『上司にしたい主人公』部門!!」
 そういうことか、と皆が納得する。
「それじゃ発表行くわよ! 第三位! 【世界を救う必要条件】のリオン・テイラー!」
 おー、と歓声があがる。
「コメントとしては、《きちんと意見を聞いてくれそう》《ピンチでも頼りになりそう》など! なるのかしらね、本当に?」
「そう言われても……」
「まあいいわ、第二位! 【夜空の鈴】よりアンジェラ・ウェーバー!」
「へー、意外。アンジェラが一位じゃないんだ」
「コメントとしては《寄り添ってくれそう》という意見がある一方で、《すぐ失踪しそう》という意見もあるわね。そこんところどうなの?」
「それが逝き様だもの」
「まあそりゃそうよね。それでも堂々の第二位よ! そして、第一位は……【容疑者《魔女》】より、フォスター・アリオスト! おっさんじゃん!」
「おっさんとか言うなよ、傷つくんだぞ」
「焔色でも外見年齢がぶっちぎりに高い人が出たわね。やっぱり上司ってなると見た目も大事なのかしら?」
「実際には万年ヒラなんだがな」
「コメントとしては《いざって時だけ頼りになりそう》《普段は邪魔しないから楽できそう》などなど。舐められてない? これ?」
「ま、それはそれでいいだろ」
「それでは、入選した三人に拍手〜!」
 ぱちぱちぱち、と拍手が巻き起こる。
 舞台のうえでは、看板の交換が行われた。
「それでは次のお題! 『パートナーにしたい人物』!」
「パートナー?」
「結婚相手ってことよね。それだと男性は女性に、女性は男性にしか投票しないんじゃないの?」
「そうでもないんじゃない? 何人か同性カップル組もいるし」
「はいはーい。それじゃ発表いくわよ、第三位! 【異葉送り】から源愛梨!」
「え、そうなの?」
「コメントは、《女子力高そう》《男にも女にも強そう》などなど。男女それぞれ票があるわね、意外と女子にもモテるんじゃないの?」
「コメント難しいこと言わないでよ」
「そりゃそうね。続いて第二位! 【神代】より八雲恵美!」
「……? なんで?」
「自分でなんでとか言うな。コメントは《ハンターとかやってくれそう》《意外と生活力高そう》などなど。まあ崩壊世界でも生きていけるくらいには生活力あるわね」
「それはサバイバル技術って言うんじゃないか?」
「どんな世界でも生きていけるのは、そりゃそれでいいんじゃない? それではラスト、第一位の発表です! だらららららら〜、じゃん! 【UMAI都市伝説】より、比奈山はすみ! 生きる都市伝説女!」
「い、一位!?」
「コメントは《ごはん美味しそう》《料理して欲しい》など、食事に関することが多数ね。やっぱり毎日のごはんは美味しくないとね」
「他のみんなが料理うまくないだけじゃ……」
「シャラップ。というか丸鳥レベルで調理できる人なんかそんなにたくさんいるわけないでしょーが!」
 それはそう。
「なんだかんだ、女性陣が入賞しちゃったわね。男ども何してんのよ」
「しゃあねえだろ、ここの男メンバーって生活的にはろくなもんじゃねーんだから」
 うんうんと頷く男子陣。リナよりマシな女子力を持ち合わせていても、パートナーにできるかどうかはまた別の話なのだ。
「なんか余計な一言が入った気がするけど……。とりあえず舞台回転!」
 またまた盆回し。
「さあ、次よ! お題は『友達になりたい主人公』部門!」
「友達ねぇ……」
「上司とかパートナーはわかるけど、友達ってどういう感じだろ。一緒に遊びたい的な?」
「結果でごろーじろ! 第三位、【ロードシリーズ】より村野聡!」
「お、来た来た!! オレの時代!」
「三位だっつーの。理由としては《一緒になんでもしそう》《一緒に遊ぶなら悪ガキの方がいい》とのこと」
「まあ普通に忍び込んだりするもんね、こいつ」
「褒められてるのか?」
「なわけあるか。続いて第二位! 【あやかしあやし】より烏丸太陽!」
「おー、ありがとなー」
「理由としては《明るくて楽しそう》《ゲーセン上手そう》などなど。まあ聡よりは無難よね」
「どういうことだってばよ」
「そういうことだってばよ。そして第一位!! 【死んでも叶えたい夢】からヴァン・レクサス!!」
「そうなのか?」
「理由としては《裏表なさそう》《バカっぽくて可愛い》など! 可愛いって友達要素か?」
「だいぶ片寄ったヘキがありそうだな……」
「ま、一緒に遊ぶなら誰でもいいだろ。決闘するか!?」
「しないわバカ! まだまだ行くわよ、続いてちょっとネガティブ! 『ほっておくと心配になる主人公』部門!」
「なんだそりゃ」
「聞けばわかるわ。第三位、【私の冒険】からアディー・ヒーリ!」
「あぁ……」
「あ、あぁってなんですか……」
「コメントは《精神的にヤバそう》《介護が必要そう》などなど。不安定さが売りよね」
「売ってません……」
「続いて第二位! 【神様のお願い】から、黒崎誠一!」
「あぁ……」
「なぜ。アディー氏と同じ扱い、なのかと」
「コメントは《東尋坊にいそう》《ホームにいたら声かけるタイプ》」
「いまだかつて。そんなこと、されたこともないが」
「そういう目で見られてるってことよ。そして第一位! 【ヘルメス】から雨雲京介!!」
「……? なんで僕なんだ」
「コメントは《ほっとくとやらかす》《新聞沙汰になりそう》とのこと。まあ確かに、物事やらかす筆頭よね」
「失敬だな。僕はやらかしていないぞ、相手にしているのは悪党だからな」
「そういうとこだよ。それでは最後のお題、『一緒に冒険するパートナーに選ぶなら?』部門! 焔色といえばやっぱり冒険ファンタジーということで」
「そうじゃないメンバーも結構いるんだけど」
「シャラップ。それでは発表でーす! 第三位、【勇者育成計画】よりマリナ・チェストナット!」
「確かに少しは冒険してるけど……」
「コメントは《冒険のベテランっぽい》《頼れそう》など。男女両方からの意見よ」
「勇者だしな」
「続いて第二位! 【幻想騎士譚】からグレイス・フェイリアー! コメントは《なんか道中でも助けてくれる人が多そう》とのこと」
「人というか人じゃないヤツもいるんだけどな」
「それも含めての人望ってことでしょ。そして第一位は……だらららららら、じゃーん!! 【あなたに足りない唯一のもの】から、ピース・チャック!」
「はぁ!? おいおい、こちとら現役抜けた元冒険者だぞ!」
「コメントは《旬だから》《意外と万能》などなど。基本スペック低いはずなんだけどねー」
「うるせえ!」
 と、ここまで原稿を読んでいたリナは紙を閉じる。
「ところで、ここまで読んでもリナちゃんが出てこなかったのはなんでかな?」
「ほっとくと危ないヤツでは出てもおかしくなかったなぐはっ」
「聡ー!?」
「やかましい! こうなったらもっかい行くわよ、一番の美少女部門で!」
「やめとけ、それは自分が傷つくだけのやつだ!」
「うるさーい!!」
 どたばたがちゃがちゃわーひー。
 騒がしい会場から、二人ほど抜け出す。
「アンジェラ、止めてこなくていいわけ?」
「ここの皆は強いから。貴女は戻らないの? 食事もあるでしょう」
「お腹減ってないし」
 そう答える美空を、アンジェラはじっと見つめる。
「何よ」
「ほっておくと危ない人間。少し操作した?」
「……私は何もしていないわよ。今回も、以前もね」
「そうだったわね」
 くすくすと笑うアンジェラを前に、美空は嘆息した。



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