シャルルはティノが元気になるのを待った。ようやくティノの体が回復したところで、シャルルは現世に向かうことになった。 「世話になったな」 ゲートルームでリナたちと向かい合ったシャルルは、変わらぬ黒いスーツで、ただ目の奥の色合いだけが変わっていた。 ティノだけは、この場にいない。新しく学園を裏から支える存在となった彼は、今までの生活も同時にこなさなければならない。当然、忙しくもなる。 「やめてよ、そんなのシャルルらしくないわ」 「そうですわね。わたくしの知るシャルルという男性は、『手伝うのは当然だー』っていう人間でしたわ」 ねー、と顔を見合わせる少女たちを前に、シャルルは苦笑を浮かべた。 「これから、どうするんですか」 ラルスに問われ、シャルルは当然のごとく答えた。 「死ぬ気で生きる、それだけだ。いつかは私も、老いて死ぬだろう。その時までは、もう少し生きてやる」 「あ、ちょっとだけシャルルっぽい」 くすりと笑ったリナを一瞥し、シャルルは扉に手をかけた。 「もう会うこともないだろう。さらばだ」 扉の向こうに、シャルルの姿が消える。ぱたんと扉が閉まると、ゲートルームは急に静かになった。 なんとなく、しんみりとした空気が流れる。それを破ったのは、豪快に開いた扉の音だった。 「って、誰よ空気を読まないのは!」 「それどころじゃないって、リナ!」 勢いよくゲートルームに飛び込んできたのは、ティノだった。 「何よー、ティノ? シャルルならもう行っちゃったよ?」 「それは残念なお知らせだね、リンダ。でも、こっちはもっと残念なお知らせがあるんだよ」 ティノはリナとシルヴィアを見上げ、 「リナ、シルヴィア。ふたりに任務。すぐに現世に行って」 「任務? だって、もう付与能力者は活動していないんでしょ?」 「ああ、学園は能力者を使っていないさ。でもね、残念ながらそれで終わりってわけじゃなくなったんだよね、これが」 「どういうことよ?」 首を傾げるリナに対し、ティノは本当に頭が痛そうに抱えた。 「ここ数日のドタバタの間に、付与能力者の一部が逃げ出したんだ。今は勝手に能力者を増やしながら逃走を続けている」 「――は?」 「つまり」 目を点に変えたリナに、ラルスは苦笑を浮かべつつ、言った。 「まだまだ学園の任務は終わりじゃないってこと、だね」 それに、ティノと同じように頭を抱えたシルヴィアが続ける。 「しかも今度は、学園が関係していないから予見ができない。いつ現われるかわからない異常能力者を封印しつつ、付与能力者を探し出さなければいけないということですわね? 本当に頭が痛いですわ。 ……リナ?」 しばし呆然としていたリナは、口を大きく開いた。 「ええええええええええええええええ!?」 今日も、能力者たちの戦いは終わりそうにない。 |