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■追跡
その後、ようやく来た警察が事情を聞いていった。と言っても、すでに犯人は逃げた後。すぐに辺りを探したが、鳥ポケモンやエスパーポケモンがい ればすぐに逃げられるのだから意味がない。 警察が事情を聞き、帰った頃にはワカバ中で噂になっていた。時間はすでに12時近いが、今日はどこの家にも明かりがついたままである。 一方、ウツギ博士とショウはまだ研究所にいた。 「博士!そっちは大丈夫ですか?」 「ああ、こっちは何も壊れていないよ。そっちは?」 「大丈夫です。機器にすこし傷はありますけど、問題はありません」 ロケット団が暴れた跡をチェックしてまわる。研究資料が奪われた事を除けば、たいした被害はないようだ。 「ふぅ。これで全部かな」 博士が額の汗をぬぐいながら言った。ショウは博士のためにお茶をいれた。 「博士。俺・・・」 「わかってるよ。ロケット団を追いたいって言うんだろう?」 博士はお茶をおいしそうに飲んだ。ショウはゆっくりと、しかし、確かに。頷いた。 「君は責任感が強いからね。でも、今回のは・・・危険だよ?」 「それでも行きたいんです」 ショウのまっすぐな目を見て、博士はにっこりと笑った。 「頼むよ、ショウ君」 でも、と博士は続けた。 「少しだけ待っててくれるかな?いくらなんでも今回の件は君だけに任せるわけにはいかないからね」 「誰か一緒に・・・?」 博士は大きく頷いた。 「君も知っている人さ。明日・・・と、もう今日か。来てくれる事になっているんだよ」 それだけで、博士はそれが誰なのか教えてくれなかった。 昼前頃、ショウは博士に呼ばれ研究所に行った。そこには博士ともう一人・・・懐かしい顔がいた。 「ナミさん!お久しぶりです」 「ショウ。久しぶりね。元気だった?」 「ええ。ナミさん・・・は、その心配はいらないですね」 「どういう意味よ?」 この女、名はナミ。ポケモンリーグ・ジョウト大会優勝者であり、世界各地を旅するポケモントレーナーでもある。 ここワカバタウンの出身者でもあり、ショウより1つ年上である。 いつもタンクトップにミニスカートという動きやすい服装で、おろせば腰までの長さがある髪をポニーテールにしている。 「つまり、ナミさんとロケット団を追えという事ですか?」 「そういう事ね。というわけで、よろしく。嫌な顔したってダメだからね」 「・・・・はぁ」 ちなみに、ショウが幼少の頃に、ナミがショウを泣かせた数は数えるのが面倒なくらいだ。 「・・・仕方ないか。早速、行きましょう」 「で、手がかりは?ないんでしょ?どこに行くわけ?」 「それは・・・」 特に手がかりがあるわけではない。ロケット団の出没の噂は全くないのだ。 「無茶苦茶ね。じゃ、とりあえずコガネに行ってみる?」 「コガネシティですか?」 「そ。大都会だから何か情報が得られるかもしれないでしょ」 「・・・いい加減ですね」 「何の手がかりもないんだからいいでしょ。ほら、それじゃ行きましょ」 ナミはショウの手を引き、強引に連れて行くのであった。 「・・・行ってらっしゃい。無事で、いてくれよ」 心配そうな表情の博士を残して。 「行くわよ!ボーマンダ!」 ナミがボールから出したのは、大きな翼を持つ四足竜・ボーマンダである。 「空から行った方が早いからね。飛行ポケモンは持ってる?」 「ええ、頼むぞ・・・カイ!」 ショウが出したのはエアームドのカイ。ナミはそれを確認すると、ボーマンダに乗った。 「じゃ、あたしに付いてきてね。行くわよ、ボーマンダ。『そらをとぶ』でコガネシティまで!」 ボーマンダは一度、低く吼えるとその大きな翼をはばたかせ宙を舞う。 「よし、カイ。ボーマンダを追ってくれ」 カイは頷くと、ショウを乗せて空を舞う。 コガネシティ。ジョウト地方の中心に近い場所にあり、ジョウトでも最大級に大きい町である。カントーとジョウトを結ぶリニアの駅やラジオ塔、デパー トに地下商店街など。本当に何でもある。 ショウとナミはコガネの入り口付近に降り立った。 「とりあえず噂話といったら地下商店街かしらね。それともラジオ塔でも行ってみる?」 「・・・そんな暇はないみたいですよ」 「は?どゆ事?」 ナミが振り向く先、すなわちショウの視線の先。そこにあったのは・・・。 「げ。嘘でしょ?」 「マジですよ」 馬鹿でかい体に、一本角。重厚な皮膚はそれ自体が鎧のようなもの。ポケモン・サイドンだ。 しかも一匹ではない。全部で・・・十体以上はいるだろうか? 「どうする?って、状態じゃなさそうね」 どいつも目がギラギラしている。明らかに普通じゃない。 「ま、ここは任せなさい。そのための用心棒だからね。行くわよ、ボーマンダ、リーフィア!」 ボールから出てきたのは葉のようなたてがみを持つ四足の獣・リーフィア。最近発見されたばかりの、イーブイの進化形態のひとつである。 ボーマンダとリーフィアがそれぞれサイドンの群れに対峙する。 「ボーマンダ、『ドラゴンクロー』!リーフィア、『リーフブレード』!!」 ボーマンダの爪が、リーフィアのたてがみが、あらゆる物を切り裂く剣となってサイドンに襲いかかる。圧倒的な攻撃力の前に、一匹、また一匹とサ イドンが倒れていく。 「油断しないで!一気に行くよ!」 ボーマンダとリーフィアが低く構え、一気に攻めあがる。・・・が、その二匹を何かが弾き飛ばした。 「・・・・何!?」 ボーマンダが低く唸る。サイドンの群れに隠れ、何者かがいる・・・!? 「邪魔者のご登場か。全く、素直に仕事ができる日は来ないのか」 くっくっく、と笑いながら姿を現したのは薄紫色のコートを着た男。色白だが、眼光は鋭い。背が高く、190センチ近くあるだろう。コートの背に描かれ た文字は――R。 「さあ。邪魔者にはどういう結末がお似合いかな?」 男の横から出てきたのはシャワーズ。水中で生活できるように進化した、イーブイの進化形のひとつである。どうやらボーマンダ達を弾いたのはあの シャワーズらしい。 「そのサイドン、あんたの?」 「さぁ?私は知らないな」 男がパチンと指を鳴らすと、サイドン達の目の色が変わる。こちらに向き直り、あからさまな殺意を向けてきている。 「リーフィア、戻って。お願い、トドゼルガッ!!」 ボールから繰り出されたのは大きな体に長い牙を持ったトドゼルガだ。 「そっちがその気なら・・・やってあげるわ。全力で!」 |