「能ある竜は牙を隠すって言うだろ? 冒険者も同じさ」
「それは本当に強い人は実力を隠す、っていうことわざよね?」
「違うさ」
「違う?」
「牙を持っている奴は、見た目は従順にしているもんだって話だよ」
「じゃあ、一番危険な冒険者は誰だと思う?」
「あたしゃ冒険者じゃないからねぇ」
「あなたが冒険者だったら一番危険なのはあなたよ」
「ババアを捕まえて、失礼な小娘だね」
「あら、どうかしら」
「はん。まあいいさ。そうさね……。人間的に危ない奴なら、結構知ってるつもりだよ。最強んところにも何人か、他にも嘘つき、乱暴者……。危ない奴はいくらでもいるけどね」
「けど?」
「本当に危ないってのなら、一人しかいない。武闘家の小娘さ」
「女の子なの?」
「そうだよ。言っただろ? 本当に危ない牙を持っている奴ってのはね……。見た目は可愛いもんなのさ」


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